大阪地方裁判所 昭和59年(ワ)208号 判決
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【判旨】
二<証拠>によれば
(一) 原告は、本件車両を運転して、前記日時、場所において、国道四二三号線(通称新御堂筋)を北から南に向かい、時速約一〇〇キロメートルで進行中、右方へ進路を変更するにあたり、右への車線変更の合図をしたが、右後方から接近する車両に注意を奪われ、進路前方の安全を確認することなく、前記速度で進行したため、進路前方のコンクリー卜製分岐点に自車前部を激突させた。
(二) 原告は、昭和五七年六月二日午後八時すぎより、職場の上司ら四人と中華料理店「トモ」において飲食し、四人でビール大ビン六本位、原告はビール大ビン一本程度を飲んだ同日午後一二時ごろ、上司の誘いに応じて大阪市内の「ミナミ」で飲みなおすこととなり、原告の運転する本件車両に上司二名を乗せて、右「トモ」を出発し、東進してのち、新御堂筋高架下の広芝交差点の一つ南側の交差点で右折し、高架下側道を南進して新御堂筋高架道にのぼり、本線に進入すべき加速したが、自車の右側本線上を南進していた車両と併進することとなつたことから、右車両を追い越すべく、一層加速して車線変更しようとしたところ、右後方を進行していた車両がパッシングしたため、これに気を奪われ、前方注視を怠つた。
(三) 原告は、ウイスキーでボトル一本位、日本酒で一升位、ビールで大ビン六本位飲酒してはじめてほろ酔気分になる程度で、また、モータースポーツクラブ「オメガ」に所属して運転に自信があつたことから、前記「トモ」におけるビール大ビン一本程度では正常に運転できるものと確信し、本件車両を運転した。
(四) 本件直後にかけつけたパトカー乗務の警察官の求めに応じて、原告は、本件車両運転席側より右パトカーまで正常に歩行し、左後ろのドアーよりパトカーに乗り込み、水筒の水でうがいを済ませて後、飲酒検知管により検知した際には、呼気一リットルにつき0.45ミリグラムの飲酒量が検知され、歩行能力、直立能力の検査は、原告の足痛、腰痛の訴えのため、なされなかつたが、右警察官の見分状況等によれば、原告は、酒臭が強く、赤色の顔面をし、涙目の状態であつたものの、飲酒による異常は認められず、事故を惹起したことによる動揺が認められた程度の状態であつた。
以上の事実が認められ、右認定を覆すに足りる証拠はない。
三右により認められる、原告の普断の飲酒量、すなわち、ビール大ビン六本程度でほろ酔気分となること、事故前における飲酒量及び飲酒の状況、すなわち、約四時間をかけてビール大ビン一本程度を飲酒したにすぎないこと、本件事故の状況、すなわち、原告が時速約一〇〇キロメートルもの速度で走行したのは、新御堂筋本線へ進入すべく、本件車両の右側を進行していた車両を追いぬくためであり、また、前方注視を怠つたのは、右後方を進行していた車両にパッシングされ、これに注意を奪われたために事故が発生したものであること、事故後の飲酒検知状況等原告の態度、すなわち、呼気一リットルにつき0.45ミリグラムが検知されたが、飲酒による異常が認められず、事故を惹起したことによる動揺が認められた程度であつたことを考慮すれば、原告は、事故当時、酒気帯び程度の状態で本件車両を運転していたことは認められるものの、飲酒により正常な運転ができないおそれのある状態で本件車両を運転していたものとはいえない。
そうすると、被告主張にかかる免責の抗弁は採用することができない。
(坂井良和)